BL漫画感想ブログ

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背中を預けるには 外伝 この恋の涯てには/小綱実波先生

【注:めちゃくちゃネタバレします】

背中を預けるには全3巻&番外編を読み直してやっとこの外伝を読みました。

ヨセフの話なのは知っていた。

ヨセフはルーカスが好きってのも知ってた。

ディルクはヨセフが気になってる、てのも知ってた。

ルーカス←ヨセフ←ディルク ルーカスはかつてのグラヴィスの立場に今回なるのよね…嗚呼‼️

 

で…どうなるの⁉️誰と誰がくっつくの❓と思いながら読み始めたんだけど…本当に展開が読めない壮大なラブストリーだった…お見事としか言いようがないというか…巧い‼️

本編の方はラブストーリーでありながら転生と国家間の争いと世代を超えた愛と憎しみと裏切りと…と盛りだくさんの要素で単なるラブストーリーではなかった…

外伝はもちろんその他のゴタゴタもあり、そのゴタゴタをきっかけに恋の涯てに導かれるところもあるが、めちゃんこラブストーリーだった。三人の想いで500頁紡いでたなあ。

すごい‼️

 

ヨセフ…ああ、ヨセフ。君はなんてかわいいんだ…こんなにかわいいとは気づいてなかったぞ。そしてレオリーノと馬が合うのが良くわかるった、主人が主人なら護衛も護衛とはまさにこのこと。剣は天才的に強いが、とにかくポヤポヤ♡強い意志を持った天才的剣士、レオリーノに心臓を捧げている、以外はとにかくポヤポヤ…愛おしいやつ…なんならレオリーノよりポヤポヤかも?と思わせるポヤポヤだった。

もちろん恋愛関係は身も心もまっさらで…10代どうやって過ごしたの?ってほどまっさら…

レオリーノそうだったけど、こんなポヤポヤな男がいるか!?って思わせない人物描写が上手い…ヨセフがどんな子かが良くわかるんだよね。

そのヨセフがイオニアを永遠に愛している王国軍副将軍ルーカスを好きになるわけよ‼️え!!!!初恋がルーカス…厳しいよ…ルーカスは死んだイオニア一筋、死んでからも一筋、もう死んでから19年だよ?ルーカスは本編でもそうだけどもう執着愛の男なのさ…

未練たらたらと言ったら言い方悪いけど、寝ても覚めてもイオニア。生きている意味、それはイオニアが守りたかったファノーレン王国とグラヴィスを守ること…まじか。

ヨセフ、無理だぜ?って思ってたんだけど、ヨセフは真正面からルーカスに想いをぶつけるのよね。試しでもいいから抱いてみてくれ!って、ポヨポヨのヨセフは自分にできる方法でルーカスを幸せにしたいって体当たりなのが眩しいというか良かったな。みてて辛いんだけどね、がんばれ、がんばれ…でも自分を大事にしてって思った。ルーカスは無理無理、それこそ自分を大事にしなさい、的なことを言いながら結局は相手をするのよな…私まさかほんとうにするとは思ってなかったからびっくりしたけどこの一夜のことはあるべくしてあったことだと思う。ヨセフのひたむきで純粋な愛がルーカスを揺るがしたのよね…

ルーカスはイオニア命だけど19年の歳月で彼の声さえもう忘れてしまってそれが自分でも悲しいのよ、そこに自分を純粋に愛する若者が現れてさ、そりゃ揺さぶられるのよね…無理はないと思う。てか揺さぶられて欲しいよ!読者も“今ある幸せを掴み取れよ、イオニアもそれを望んでるよ!“って思った。あの一夜があってやっぱ無理かって思ったんだけどルーカスがちょっと考えさせてくれって言い出してまじか?え?これはまさかこの二人本当にくっつくのでは?と途中思った。でもね〜ルーカスは最後までルーカスだった。とある事件で命懸けでイオニアの形見の剣をヨセフが火中から持ち出すんだけど、その時ヨセフよりイオニアの剣が戻ってきたことが嬉しかったことで自分の気持ちに気づくってなんて残酷なんだろう…剣の方が大事ってさ、そりゃないよ。でもね、このルーカスの気持ちの揺れ動き、自分よりイオニアの剣が大事って思ったその瞬間の気持ちもヨセフは全部受け止めるの…立派だった。自分の心よりルーカスの心を守る、ルーカスに幸せになってほしいって気持ちを優先して本当に偉かった。この心根の美しさを純朴にかつ美しく、でも白けさせないように書くのがうますぎるんだよ…!

ヨセフが自分の好きを否定しないでくれっていうところ、ほんとルーカスにはこれが必要だったよなって思った。彼はなんだかんだイオニアの気持ちも最後のところで信じていないからずっと自分はグラヴィスイオニアの邪魔した〜って悩んでるじゃん。もっと相手の気持ちを信じろよ、だよ。で、このヨセフとのやり取りでルーカスがどういう人なのかもよくわかった。「二人の関係の責任を全部自分で負いたい」んだよね…傲慢だけどそういう覚悟を持って人を愛する人なのよね、ルーカスって。だからあんなに愛したイオニアが完璧に幸せになれなかったことが許せないのね…

結局ルーカスは俺はイオニアを一生愛す、おまえは愛せないってヨセフを振る。

ヨセフも納得して貴族の立場を得るためにルーカスの義理の息子になるのよね…まじか。この恋の涯てには変わらないルーカスとルーカスをそのまま受けて止めて諦めて大人になったヨセフがいたね…

これは女性が恋愛に求めているものの終わりとしては完璧な恋の涯てだと思いました。

理想郷ですね。

 

で、この二人の話で終わらないのがこの外伝の肝ですよ。そうディルク‼️ディルクはなんて言ったってイオニアの弟、その生涯を兄が諦めざるを得なかった世界を実現するために自分の人生を捧げる男!重い宿命を背負った、いや自分で重荷を背負うことに決めている男…

そんなディルクは、レオリーノと共に現れたヨセフに心を寄せるようになるのよね、同じ平民ってことで最初は気にかけていただけだったけどいつしかそれは愛になっていたのよ!嗚呼、そうルーカスに想いを寄せているのも頭キレキレなディルクにはお見通し(あ、リーノさえ気づいていたからみんな知ってたけど)、でもそんなヨセフを愛おしく思っているんだよね。

ルーカスに面倒と言われたのを誤解して早く大人にならねばと焦って夜の街に繰り出したポヤポヤなまっさらヨセフを大人にしたのがディルクってのがすごい…ルーカスとの一夜の前にディルクとの一夜があるってのがすごくない?あの展開、え?え?え?まじか?ってなりましたよ…ディルクくん、きみってやつは…でも初体験としては一番いい相手だよね(言い方あれだけど)身元が知れていて仲が良い友人で(いや普通友人に貫通工事はお願いしない気もするけど…まあヨセフは馬の交尾しかしらなかったから、尻に出すって、え?w)。“愛される喜びを知ってほしい“って言ってヨセフの体を拓くのよ、その描写がとても素敵だった、ディルクは心と体でディルクを愛していたわ…素敵だった。BLってほんといいですね、ってなった。ディルクは近々ファノーレンを離れることになっていたから自分的にも最後の思い出、自分にできる形でヨセフを一夜愛してルーカスの元に送り出したようなもんだよね。兄も兄なら弟も弟だ。なんだか人のことより自分のことを大事にしてくれって言いたくなる二人だよ。平民の自分にはヨセフを本当の意味で守れない、平民も貴族も平等で愛を貫ける世界を作りたいって大いなる野望の前にディルクには余裕がなかった、んだよね。

 

結局ルーカスとヨセフの愛は実らず、そうなるとディルクとヨセフはどうなるの❓なんだけどここがめちゃくちゃ上手く処理されていて、うますぎる!!!ってなりました。ヨセフはルーカスへの愛を諦めた後ディルクの元に駆けつけるんだけど、ここで何をいうの?振られたばかりでどうするの?と思ったらさ…

「お雨がずっと探していた世界って、見えないだけで、きっともうあるよって」

「だから今度は…ディルク、おまえ自身が幸せになることを考えてくれ」

 

なくね…ヨセフは生涯イオニアを愛すると決めたルーカスを見て、この想いに至るわけじゃん。この物語は過去に囚われた人がたくさん出てくるけど、ディルクは後追いでイオニアの幸せのために生きているんだよ、そこから引っ張り上げてくれたのがこのルーカスを愛した涯てのヨセフだったよな。素晴らしい。

 

「どうか、俺を愛してくれ。ヨセフ、おまえとじゃなければ、俺は幸せになれない」

ディルクやっと言ってくれた。

 

その後、2年の時を経てディルクとヨセフはファノーレンで再会。ここで話が終わるのよ!見事だった…その後の二人について書かないってのがめちゃくちゃ良かった。(どこかで書かれているのかも知れないけど💦とりあえず本編をここで終わらせたのが素晴らしかった)

 

あんまりBL小説(ばかりかライトノベルと言われるもの全般)を読んだことがないので、相場がわかってないんだけど…このシリーズの印象は「高潔」。

“高潔な魂を持った男たちが愛と運命に翻弄されてながら懸命に生きる“ 

ドラマチックで美しいんだよね…創作物に求めているものをちゃんと読ませてくれるけど軽くない…白けない。なんでこんな物語が書けるのか…素晴らしかったです。ありがとう、先生、ありがとう、そしてありがとう…絵も素敵でした。

新作も楽しみです!

以上

背中を預けるには 外伝 この恋の涯てには【電子特別版】 (ルビーコレクション)