BL漫画感想ブログ

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恋ひめやも/英田サキ 先生

“長めの前髪がふわりと鼻先に落ちる。先生はくすぐったそうな顔で髪をかき上げた。細い指の隙間から、まっすぐな髪がさらさらと流れていく。”

 

恋だな…

 

普通の人の恋の話なの(元教え子と先生)テンプレ的な話?といえばそうなのかもしれない…

でもね、「せつない」を脳みそで感じたんじゃなくて体で感じたってかんじだった…

ああ、せつな〜いって思う前に体の中に流れてきて溜まった水原先生の気持ちが溢れて指が震えたな

どんなに冷静になって我慢しても、翻弄されてしまう…恋ねえ

 

棚橋くん、最初にお豆腐落とした先生を見て「可愛い」って思ったところ、読者もおや?でしたし、本人もおや?だったんだけど、この時にはもう小石が湖に落とされていて、「綺麗な髪」と思った時には波紋が大きくなってたわね。決して下半身に突き動かされて、これはなんだ?じゃないんだよね、何か分からないけど気づいた時には好きになっていた、どんなに自分に言い訳しても、恋しちゃってる、この感じ、いいわあ。理屈じゃなくて好きになってしまった感の書き方、引き込まれた。

 

水沢先生はもう恋なんてしない…って先生。なのに、この人の我慢が効かなくなる瞬間が最高だった。最後の方までこれは…どうなるの??だったのに、クライマックスでの水原先生の気持ちの溢れ方がどば〜じゃなくてサラ〜だけど水量が多い感じで、たまらん!ってなりました。

 

棚橋くん、ノンケで押し強女子友梨奈と実質婚約しているし、先生のこと好きって自覚しても一過性のものだって思ってたのに、自分でも気づかないうちに気持ちが熱く熱くなって友梨奈を…冷静になるとBLマジックすぎくない?ってなりそうなんだけど、英田先生マジックというか、文体の美しさというか読みやすさというか、ドライさと甘さの塩梅がうまい、好き〜、いつの間にか世界観に上手く引き込んでくれるの、文体が好きなんだろうな。

 

水原先生ほど「恋は終わる」を連呼していたら、そうやで…そうやで。ってなるんだが、棚橋くんが「終わりのことばかり考えて今を大事にしないのは、すごくもったいないと思うんです」っていうの聞いてね…おばちゃん間違ってた、ほんと若者のいう通りやって思いました。いいこと言うわ。途中、おまなにゆうてんねん!ってなったけど立派な攻めに成長したわ。恋が彼を男にしたのよね。

真摯な棚橋くんの言葉聞いて水沢先生は今まで抱かなかった淡い予感を抱くようになるのよね、素敵だった。恋の果ての、「終わり」以外の結末を考えられる相手に巡り合ったのよね。

 

英田先生自身があとがきで「地味」って書いてらして確かに地味かも!どんぱちしないし!ってなったけどすごいよかった〜。「遠い岸辺」からの温度差すごかったけどこれはこれで好きだった。とにかくに2人の濡場の見事さには舌を巻きました(最後にこれを言う)

 

我れ恋ひめやも

“恋などするだろうか、いやしない。恋なんてしない。恋なんて…”

意味を知ると、なるほど…と思うタイトル

 

でした(「めやも」なんて言葉は初めてしった…)

恋ひめやも (キャラ文庫)