「はぁ」END
こんな終わり方がかつてBL漫画にあったか？いや1話目から主役が滅多刺しにされて血みどろで死んでゾンビとして生き返る…そんなBL漫画がかつてあったか？
もはやBLではない、これは人間二人の間に“愛”というものが存在するのであればこれだろうという“リアルラブ”の話だと思ってます。生きるのがとても不器用で深く深く傷ついている間宮。その間宮に佐田くんが向けたこの温かい眼差しと言葉に私は大いに癒されました。もちろんマッドサイエンティストじゃないけど、自分の中にも間宮がいてその間宮が癒されたんだよね…ああ、こうして生きていけばいいのかって道筋が見えた気もする。そう、私はこの作品の中で語られた会話を自分に言われた言葉として受け止めて生きています（重いぞw！( ・∇・)
「周りを見て、無理のない範囲で真似て馴染んでみるといい もしかしたら気の合う人間がいるかもしれないし」
「熱中するといい研究に 熱中できるものがあるって素晴らしいよ 夢中になれるもの…辛さや悲しさを忘れられ自らの支えになるもの 別に成果なんて気にしなくてもいい 熱中できるだけでいいんだ」
ある程度生きてきた中年で実はかなり人間関係苦手すぎてもうどうしていいか謎…だった私にはこの言葉が刺さって刺さってね
（重いぞw〜BL漫画の感想なのに自分語りし出したよ…( ・∇・)
あらすじ的な（ムズイ
佐田くんは高校教師 生徒の見回り中に殺される（え⁉️
間宮は研究員 仕事とは別に私的な研究（死んだ人間を生き返らせる）に夢中、ふとしたことで殺された佐田くんに遭遇し佐田君を生き返らせる
佐田くんはゾンビになり、死んだ人間を食べないと生きていけなくなるため二人で殺人をしていくの…
え⁉️イケメン同士のラブストーリーどこ？てか絵面がえぐいしグロいし間宮はハゲだし❓当初、いや…いくらなんでもこれは読まない、読めない、興味が出るところが何もないし、ゾンビあかん、ぐろ地雷、地雷しかない‼️無理無理‼️でした…が朝田先生にはまりまくった私はこの作品に手を出したんですね…上巻は正直無理無理無理、いや内臓抉り出されているし…間宮の倫理観とかよくわからんし、てか殺人するんかいな？え、生命倫理の議論ずっとする的な話？ラブどこ？cannaさんまじか❓でした…でも頑張って読みましたよ。そしたら上巻終わりでえ⁉️( ・∇・)ってなった。
ちょとまて、なんと二人は高校の同級生だったんだよ…間宮の苗字も高校時代は違ってたし佐田君は気づかなかった。思い出さなさかった。実は間宮は同級生の佐田君が高校の先生なの知ってちょっとつけてたんだよね、だから殺人現場にも居合わせることができたの、まじか⁉️それに気づいた佐田くんは間宮のことを少しずつ知り、静かな愛情（愛情って言っていいとおもう）を間宮に注ぐようになるんだよね…
間宮は高校の頃すごいいじめを受けていたこともありその仕返しに殺人をしているんだけど、これは復讐劇では済まされない愛の物語なんだよ。（たぶん…
心身ともに深い傷を負って（生来の性格もあると思うけど）他人と関わることができない不器用すぎて捻くれまくった間宮が愛しくなるんだよね。朝田ねむい先生が作品に込めたメッセージは他にもいろいろあるのかもしれないけど私は間宮が一瞬でも人の愛に触れて癒される話だと思ってます。
間宮は高校時代も佐田君がほんの少し味方してくれたことをずっと忘れずにいて、この密かな想いだけを胸に生きているんだろうな、唯一人に関心を持ったのが佐田くんだったんじゃないかな（あ、間宮は研究にはすっごい熱心、たぶんそれしかない人）
佐田くんが高校教師なのを知って話しかけに行こうかどうか逡巡する時もね…馬鹿らしい、って言いながら会った時にかける言葉の練習を一人でしたりするの…いじらしい。
結局佐田君はゾンビ化失敗で死んでしまうんだけど、このゾンビの佐田くんと過ごした短い時間に間宮はいろんな思いを体験したんだと思う。体の触れ合いも初めてした。それはいわゆるセックスとは違うのかもしれないけど他人と体を触れ合わせる本質に触れる体験だったと思う。二人のキスの辿々しさと言ったら愛しくて愛しくてね…
佐田君はゲイなんだけど（一応）この人の恋愛感が語られるシーンも忘れられないなあ。ああ、これだ、私はずっとモヤモヤとしていた感じがやっと言葉として聞けた、って気がしましたね｡
「俺も他人を好きにはなるし、性欲も抱くけど 関係性は友達で全然いいんだ」
「どこも愛の生き着く先なんてこんなもんなんだなって なのにみんなフィクションみたいな愛を当然だと期待してる」
「人間関係って…人と人なんだからある程度の距離感ってのは絶対必要なんだと思う だから友達がいいんだ」
旅行（目的は殺人相手の下見）の夜交わされたこの二人の会話忘れられないな…すべてのセリフがグサグサきて宝物になってる✨
BL読んで喜んでいるんだから“ラブストーリー”を愛しているんだろうが、結局はラブストーリーはスターウォーズと一緒で“スーパーフィクション“で娯楽として読んでる、萌えが健康にいいから読んでいる。だからどんな素敵な恋愛を見ても、3次元の自分に本当の意味で刺さることはほぼないんだが情愛はわかるし、この恋愛観を他人から聞けたことがすごいなんかよかった｡
もっと若いときにいろんな文学とか読めばよかったなあと今になって思います…小説とか文学とかなんか役に立つわけ？的な考えでいて大人になってから小説とか読んでも何が書かれているかさっぱりわからなかった私には他人の価値観みたいのがやっとスッと理解できた気がするというか、というか？すごいわかりやすかったんだよな、佐田くんと間宮の会話｡ストンと落ちた。
佐田君を焼いた後の間宮のため息でこの物語は締められるんだけど、あの後間宮がどうしたか、最初は絶対後を追ったよねって思ったけどこのブログ書いたあとは、あれは思いとどまったかもな、とロマンチックなことを考えるのでありました。ロマンチックはやはり止まらんのかもしれん。止めてロマンチック。
絵もうますぎるというか、うますぎるというか、うますぎてね、うまい。行間や他の素晴らしいセリフと共に味わっていただきたい。教科書に載せて全国民の情操教育に役立ててほしい漫画ばかりです。10代の私に贈りたいな。これを10代で読んでたら人生違っていたと思いますよ（重いってば！( ・∇・)
🩷おしまい🩷
