BL漫画感想ブログ

BL漫画ファンによる感想ブログです♡雑記含みます

フリップフリップスローリー/オオタコマメ先生

(一応ネタバレせずに書いたつもり。。だが文脈でバレてるよな)

振られたり、くっつかない話が好き

文学的だけど漫画の娯楽性を失わずシンプルな話が好き

泥くさくないけど人間の感情が描かれている話が好き

全体的にミニマムで静かで綺麗な雰囲気の話が好き

 

はい、全部当てはまってますね・・

 

フリップは本を手でめくるって意味よね?

 

地方の図書館に努める司書の萩原くん(ハギワラくん)と東京からの出戻りの大学の先生八月一日さん(やぶみさん)。

 

やぶみさん免許持ってないから地方ではアクセス悪すぎる公共交通機関使って2時間くらいかけて地方の大学に通ってる。乗り換えの時間つぶしに図書館を見つけてそこに通ってる。萩原くんは独特の雰囲気のあるやぶみさんに目を奪われている。

ひょんなことから近づく二人。ドライブに行く二人。ドライブの帰り、ゲイであることがバレて親ともうまくいかず地元に居場所がなくなって東京に行ったという話をやぶみさんがするの。で、君もこっちの人でしょ?僕はやめたほうがいいよ、って引導を渡される。ふんわりやんわり、じっくりとね。ここを起点に二人の交流が静かにゆっくり描かれる。

二人は友人のような関係で休日を一緒に過ごすようになるのね、その間にやぶみさんが打ち解けて行くというかリラックスして笑顔を見せるの、それが、なんかいいの、大人が素みせてんなあ〜って感じ。萩原くんも少なからず葛藤があるんだけど、そこをやぶみさんも優しく大きく包むのね。

あらすじ言ってもこの話の良さはさっぱり伝わらないと思う。

 

こういう過去のある人の話はBL漫画ではよくあると思うけど、やぶみさんは過去を受け止めてなんとなく折り合いつけて生きているの。大人よね。原因が何であれ、家族とか地元との葛藤を抱えている人って多いと思う。そういうところを包括した苦悩が静かにやぶみさんを通して描かれている感じする。

萩原くんは、地に足がついていて、自分に自信があるわけでもなんでもないけど、やぶみさんへの気持ちは諦めないの、自分の気持ちをちゃんと大切にできるんだよね。ちゃんと距離はとりつつ「寄り添おう」とするの。勇気のあるこだなって思った。グイグイ自分の気持ちを押し付けるわけでもない、でも、簡単に諦めるわけでもない。こういうことできる人って少ないと思う。「自分の言葉」でやぶみさんの苦悩に寄り添ったんだよな、この人。

 

最後二人がどうなったかは読んで見てくれ。

 

創作物、特に恋愛系は一人の脳から生まれた二人ならではの痒いところに手が届く感じのいたわり合い、「この言葉を聞きたかった、他人から」的なところを楽しんで自分を癒すものだと思うんだが、いやいや他人通しでこんなツーカーな感じにならんよ(苦笑)ってなるか、本作品みたいに他人の言葉で救われるよなって思えるか、難しいところだと思うんだよね。どこが違うかは。。全体的なバランスさね。きっと。

 

で、1巻完結の中で感情が変化して行く様を見事に描ききっていて(200Pもないよ?)それもすごいなあと思う。端折ったな?感がないし、読者が隙間を考察してストーリーを組み立てる必要がない。素晴らしい。

 

で、二人の物理的接触のこの塩梅の素晴らしさに脱帽です。

裸なしでも全然満足して読める。絵柄の洗練された美しさに惹きつけられるのかな、陰影の素晴らしさ、表情の移ろい、素晴らしいのね。とにかく何が言いたかというと、物理的接触これくらいとどめておいていただいていいんです。えろ本読みたいわけじゃないんだからね。でも大人の恋愛にお布団がないのは逆に不自然だから必要最低限でやってほしい。その必要最低限に全てをぶつけてほしい。やぶみさんの色気がほんと自然で、お布団でもこの物語の肝となる会話があるのね、それが自然でね、素晴らしかった。

 

はい、すごく好きです!

あ、えろ本系のBL漫画も大好きです…( ^∀^)