BL漫画感想ブログ

BL漫画ファンによる感想ブログです♡雑記含みます

メロンの味/絵津鼓 先生

【注意:めちゃくちゃネタバレします🍈(あ、私のブログはネタバレする前提で書いてる、毎回)】

 

BLで描かれる愛の形は千差万別、いろんな愛の形があっていいんだよ〜って感じがこんなにBL漫画にハマっている理由の一つかなって思っています。メロンの味は私にとっては漫画というより薬って感じ。

絵津鼓先生が苦しみの末に届けてくれた宝物のような物語かな🍈

大袈裟な描写は皆無、ただ二人の日常が淡々と描かれているだけなんだけど、いろんな人の傷を癒しただろうなと思うなあ。

 

メロンの味🍈

メロンソーダに対する木内くんのセリフ

「今ふと思ったんだけどこのメロン味って偽物だよね」

「偽物だけどこれがメロンの味って定着してるよね」

「うらましい」

最初読んだ時はふ〜んくらいだったと思うんだが、最後まで読んで木内くんのことを知った後はああ、って思う。偽物でもこの世の中に居場所がある“メロンの味”が羨ましいって思うのは自分に居場所がないからって感じているから…だよね?

 

木内くんは15歳でメジャーデビューしたミュージシャンだがそこから音楽作れなくなって今に至る。“10年以上何も生み出していない“

中条くんはゲイであることで親から“幸せじゃない”って思われているライブハウス店員。恋人ともうまくいってない。

二人は木内くんが彼女の家を追い出されたことをきっかけに同居することになって。

 

二人は“恋愛”をするわけではないの、友達でさえもない“同居人”なの。中条くんが彼氏と別れ話をしている現場に遭遇するとか、親とうまくいってない現場に出くわすとか、そういうエピソードはあるんだが、基本特に大きなことは起きないし、何かドラマチックな駆け引きが二人の間にあるわけではない。親との確執も日常会話の延長線上で語られるわけ、自然と。でもね、その日常エピソードを通してだんだんと二人が溶け合う感じがするの。お風呂場のキスシーンが印象的なんだけど、あまり性的な感じがしない。傷が溶け合っている感じがするってのかな…

 

ふとしたことで中条くんは木内くんがうつ病だということを知るの。薬を見ちゃうね。私もそれを知るまで、木内くんはずっと咳をしているし、雨の日は外に出れなくなるし、ふと涙を流したりして何かあるんだろう、音楽がうまくできないから?と思っていたと思う(何度も読んでるから初回の感想は思い出すしかない)んだが、うつ病だとは全く気付かなかった。普段ひょうひょうとしているしね。だから、それを知った時なるほど、ああ…ってなった。この病気のこと知識としてはなんとなく知っていても当人の状態って他人には分からないと思うんだが、その一端を“感じた”感じがしたな。こんな感じに世界が見えるんだなあって(あ、でも簡単にわかるとか思ってないよ、もちろん。辛さは当人にしか分からんだろう)

 

中条くんの親の離婚をきっかけに二人は同居を解消するんだけど(親の持ちビルに住んでたからね)解消前に木内くんが中条くんに本当は言わずにおこうと思ってたんだけど、って前置き付きで本当の気持ちを言うのね、そこが泣けて泣けて。木内くんの辛さって誰にも分からない、本人にしか分からないんだろうけど、なんだろ、言える人がいてよかったというかずっとこれを誰かに言いたかったんだろうなあ。と…。これって、あまり軽率に口に出して他人に言えることじゃないけど、こういう気持ちって誰の心の中にもどこかに住んでいる気持ちな気もする。木内くんが癒されて本当によかった…ってなるね、読者も癒されたよ。

 

中条くんの苦悩も木内くんの苦しみも当人にしか分からんのだろうが、この物語ってなんだか自分の物語のように感じるというか、セリフが自分にすごく沁み渡るんだよね、なんでだろう??癒されるんだよ。

 

二人は言葉で紡げない親愛の情をキスやセックスすることで補完している感じがしたのね。だから二人には性愛とか恋愛って感じはしなかった。二人は全然違う傷を抱えているけどして欲しいことが噛み合う、ソウルメイトだなあって思う。最後“家族になろうよ“ってなるのが本当にしっくりきた。

 

うまく感想書けないなあ💦すっごい感動するんだけど絶対手紙とかが書けない作品の一つ。ただ、先生にこの物語を届けてくれてありがとうって言いたいです🍈

恋人とか…親とか なんで俺は普通に愛されたい相手ばっかりこんな風になるんだろ…